極寒の土地として知られる北極圏にも、数多くの動物たちが住んでいるのは知っていますか?その中のセイウチやホッキョクグマは、動物園や水族館でも人気ですよね。密漁や地球温暖化などにより、何十年もの時をかけて絶滅に追い込まれてきた種も多い中で、保全活動が活発になってきたことにより、救われた動物も多くいます。今回は、そんな北極圏に住む動物たちについてお話ししたいと思います。
※各動物の保全状況:国際自然保護連合(IUCN)によるレッドリスト(絶滅の危機に瀕している野生動物のリスト)参照。
ホッキョクグマ
絶滅危機レベルの評価:危急種 (VU)
シロクマと言われるように、体全体を白い毛で覆われているように見えますが、実は透明の毛が光を通して白く見せているホッキョクグマ。主な餌はアザラシですが、地球温暖化によって北極圏の氷が減少し、狩場が減ってきていることにより、生き残りが難しくなってきています。
タテゴトアザラシ
絶滅危機レベルの評価:低危険種(LC)
生後すぐの赤ちゃんは真っ白なふわふわの毛で覆われ、氷の上で生まれる際の身を守る保護色となっています。成体は灰色で、体に浮かぶ竪琴のような斑紋が名前の由来です。地球温暖化の影響はありますが、それでも未だに多くの個体が生息しています。
セイウチ
絶滅危機レベルの評価:危急種 (VU)
2本の長い牙が特徴的で、生きている間は伸び続けるそう。特にオスの牙は約1メートルの長さ。さらに驚くことに、セイウチの皮膚と脂肪は約10センチの厚みがあります。環境問題による生態への影響は大きく、その中でも気候の変化により生活の基盤である海氷が溶け出してしまい、餌が取れにくくなるという問題が出てきています。
ワモンアザラシ
絶滅危機レベルの評価:低危険種(LC)
アザラシの中で最も体が小さいワモンアザラシ。気候の変動による氷の減少は、氷上で生きる彼らにとって深刻な問題です。特に、天敵の肉食動物に捕食されやすく泳ぎもまだ苦手な子どもは、氷がなくなることにより身を守れず、死んでしまうこともあります。
ホッキョクギツネ
絶滅危機レベルの評価:低危険種(LC)
マイナス70度にも問題なく耐えられるホッキョクギツネの生息地は、極寒のツンドラ地帯です。レミングというネズミ科の動物や、鳥が主食ですが、ホッキョクグマの狩りのおすそ分けをもらいにいく姿もよく見られます。
アゴヒゲアザラシ
絶滅危機レベルの評価:低危険種(LC)
北極圏に住むアザラシの中では最も大きく、潜水が得意。赤ちゃんでも、生まれてすぐに泳ぎの練習を始めます。日本では多摩川に現れた「タマちゃん」として有名ですね。
タイリクオオカミ
絶滅危機レベルの評価:低危険種(LC)
北半球に多く生息していますが、地域によっては絶滅しまった亜種も多くいます。原因は、家畜を襲う害獣として駆逐されてきたこと。現在は保全活動が成功し、徐々に増えてきています。
コククジラ
絶滅危機レベルの評価:低危険種(LC)
フジツボなどの寄生生物が体全体を覆っているため、岩のようにも見えるコククジラ。捕鯨の影響により北大西洋では絶滅、北太平洋でも絶滅の危機にさらされていましたが、一部の地域では保護活動により復活してきています。
ヒグマ
絶滅危機レベルの評価:低危険種(LC)
クマ科では最大のヒグマは、ユーラシア大陸、北アメリカ大陸と幅広く生息しています。その性質から人間との共存が難しく、長年駆除され続けた結果、以前に比べると個体数が激減してしまいました。
ベニザケ
絶滅危機レベルの評価:低危険種(LC)
繁殖期を迎えて川を遡る時に、短い期間のみ、名前の通り真っ赤になるベニザケ。水温の低い場所で生息するベニザケは、水温の上昇に弱く、地球温暖化の影響を強く受けています。
シロナガスクジラ
絶滅危機レベルの評価:絶滅危惧種(EN)
世界最大の動物として知られるシロナガスクジラ。妊娠期間は約1年で、一度に一頭しか生まないそうです。鯨油を目的とした乱獲で10万頭以上が殺され、現在は5000頭〜15000頭のみと言われています。
ジャコウウシ
絶滅危機レベルの評価:低危険種(LC)
マンモスの時代から存在し、「生きた化石」と呼ばれるジャコウウシ。繁殖期になると、オスはジャコウに似た香りの分泌液を出します。高級品として扱われる毛を目当てにした乱獲により、一時期は絶滅の危機に瀕していましたが、保護活動により現在は多くの個体数が生息しています。
イワシクジラ
絶滅危機レベルの評価:絶滅危惧種(EN)
餌であるイワシの群れと一緒にいることが多く、その名がついたイワシクジラ。1976年以降に捕鯨が禁止され、全面的に保護対象になるまで、何十万頭も食用や鯨油のために捕鯨されました。
シロフクロウ
絶滅危機レベルの評価:危急種 (VU)
ハリーポッターの相棒のふくろう「ヘドウィグ」としてもよく知られるシロフクロウ。北極圏の温暖化により、主食のレミングが減少。それにより、餌が取れにくくなったシロフクロウにも急激に影響が出始め、近年レッドリストに入りました。
シロイルカ
絶滅危機レベルの評価:低危険種(LC)
別名ベルーガと呼ばれ、水族館でも人気者のシロイルカ。様々な鳴き声を出すため、「海のカナリア」とも言われています。環境問題などにより徐々に個体数は減ってきていますが、未だに多くの数が確認できています。
ナガスクジラ
絶滅危機レベルの評価:危急種 (VU)
シロナガスクジラの次に大きい大型のクジラで、広い海域で見ることができます。他のクジラのように、乱獲により多くの犠牲が生まれてきましたが、保護活動が活発になり、現在は一定の生息数が確認できています。